Nihongo
Japanese
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Translation: Reinhard
F. Hahn and Tomoko Kurata Gautier () (License)
Locations: Seattle (USA), and Châtillon (France)
Transliteration: Reinhard F. Hahn
Language information: [Click]
ミソサザイ
ミソサザイの巣は車置き場の中にありました。ある日のこと、親鳥二羽とも、子供たちのために食べ物を取ってこようと外へ飛び立ち、小さな雛鳥だけが巣に残されました。
しばらくして、ミソサザイの父親が巣に戻ってきました。
「なにがあったんだ?」と父親は聞きました。「子供たち、おまえたちに悪いことをしたのは、誰なんだ?どうしてそんなに怖がっているんだ?」
「ああ、パパ」と子供たちは言いました。「大きなおばけみたいなものが、今さっきやってきたんだ。すごく獰猛で恐ろしい顔をしてたんだ!おおきな眼で僕たちの巣を睨んだんだよ。ぼくたち、とっても怖かった!」
「そうか、わかった、そいつはどこに行ったんだ?」と父親が言いました。
「ええと、あっちの方へ行った」と子供たちが答えました。
「待っておいで」と父親が言いました。「そいつを追いかけて行ってやる。心配しなくていいんだよ、子供たち、お父さんがそいつをつかまえてやるから」父親はそう言って、飛び立って行きました。
親鳥が道の曲がり角まで来てみると、そこを歩いているのはライオンでした。
ミソサザイはライオンを怖れませんでした。ライオンの背中に舞い降りて、「何の用があってうちに来て子供たちを怖がらせたりしたんだ?!」とライオンを叱り始めました。
ライオンは知らぬ顔をして歩き続けました。
そこでこの小さな鼻っ柱の強い鳥は、ライオンを一層激しくなじりました。「おまえはこんなところに来る理由はないんだ、わかったか!もし、またやって来るようなことがあったら、目にものを見せてやる!こんなことは本当はしたくないんだが」と言いながら、親鳥は片脚を挙げました。「それでも、またやって来たら、この脚であっという間におまえの背中をへし折ってやる!」
そう言って親鳥は巣に飛んで帰りました。
「さあさあ、子供たち、もう大丈夫だよ。あいつにはよく言い聞かせてやったからね。もう戻ってくることはないよ。」と父親は言いました。
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